国内市販用タイヤ値上げ発表(ブリヂストン、横浜ゴム)

ブリヂストンは3月21日、横浜ゴムは3月24日、それぞれ国内市販用タイヤのメーカー出荷価格の値上げを発表した。2社ともに夏タイヤは6月1日から、冬タイヤ(横浜タイヤはオールシーズンタイヤも含む)は9月1日からの実施となる。国内タイヤメーカーでは、住友ゴムが4月1日からの値上げを昨年12月に発表している。

(情報源;2025年3月31日発タイヤ新報)

 

両社共にタイヤ原材料価格高騰に加え、国内の社会、経済情勢に伴う物流コスト上昇や人件費上昇する中、効率化やコストダウンに努めてきたが、企業努力のみでこれらの吸収は困難であり、価格改定に至ったとの事です。国内タイヤメーカーの値上げ発表は2023年度(ブリヂストンは2023年1月、横浜ゴムは2023年2月、住友ゴムは2023年2月)以来となります。

 

<ブリヂストン 価格改定詳細>

対象商品  国内市販用タイヤ全般(夏、冬) チューブ・フラップ
値上げ率  6~8%(各商品グループ平均)*品種により改定率は異なる
値上げ時期

 ・夏タイヤ;2025年6月1日

 ・冬タイヤ;2025年9月1日

 

<横浜ゴム 価格改定詳細>

対象商品  国内市販用タイヤ全品種(夏、冬、オールシーズン) チューブ・フラップ
値上げ率  5~8% *品種により改定率は異なる
値上げ時期

 ・夏タイヤ、チューブ・フラップ;2025年6月1日

 ・冬タイヤ、オールシーズン;2025年9月1日

ENEOSはCO2を電気分解しタイヤ原材料(カーボンブラック)の量産対応推進

ENEOS HDの資源開発子会社であるENEOS Xploraが同志社大学と組み、タイヤの強度を上げるのに使用されている「カーボンブラック」を、従来の石油・石炭から取り出す製法ではなく、CO2を電気分解する方法で量産すべく4月以降共同開発を進める事を決定。生産設備に数十億円を投資し、2030年代初頭に年間1万5千tonを量産する目標をあげる。

 

CO2からカーボンブラックをつくる技術は世界で研究が進んでいる段階で、現在は量産の事例はない。同社大学はすでに合成技術を確立しており、量産に向けた規模の拡大が課題との事で、石油製品に代わる新規需要取り込みを目指すENEOS HDと組み、量産に向けたコスト削減&生産効率向上の為の最適触媒開発を進めるとの事です。尚、原料となるCO2はENEOS HDの製油所やコンビナートから排出されるCO2を買い取って使用する他、CCS(CO2を分離・回収して地中等に貯留する事)向けに集められたCO2も一部使用する。この背景には政府が2026年度よりCO2の排出枠を売買する排出量取引制度を本格的に始める為、ENEOS HDとしては採算が見込めると判断したと考えられる。

 

尚、ENEOS HDはCO2の活用については2024年にCO2とグリーン水素を原料とする「合成燃料」の実証生産も始めた。合成燃料とは環境負荷の小さいガソリン代替燃料やジェット代替燃料(SAF他)の総称で、既存の石油製品のサプライチェーンも生かせる為効率良く活用出来るので、開発に各社・各業界注力している。

(情報源;2025年3月11日 日本経済新聞)

 

<排出量取引制度とは?>

https://journal.meti.go.jp/p/36485/#:~:text=%E3%80%8C%E6%8E%92%E5%87%BA%E9%87%8F%E5%8F%96%E5%BC%95%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%80%8D%E3%81%AF,%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

 

 

 

 

エタノールからブタジエン生成の技術実証工場の建設(横浜ゴム)

横浜ゴムと日本ゼオンは、植物原料由来等のエタノールからブタジエンを生成する技術を実証する為のベンチ設備を、ゼオン徳山工場内に建設する事を決定した。ベンチ設備は26年より稼働開始し、ブタジエンの確保と量産に向けた各種データを収集していくと発表した。

 

今回実施する実験は、植物原料由来等のエタノールを高効率な触媒によりブタジエンに変換するもの。植物原料由来等の合成ゴム量産化する技術確立の第一歩を目指す。ゼオンはベンチ設備で生成したブタジエンからポリブタジエン(ブタジエンゴム)を試作し、横浜ゴムはそのブタジエンゴムを使用したタイヤの試作と走行テストを実施し、大規模実証に向けたデータ収集を行う。

 

両社は2030年代に植物原料等からブタジエン、イソプレンを高効率で生成する二つの技術の社会実装を目指しており、今回のベンチ設備は「エタノールからの高効率ブタジエン合成」に基づくものとの事です。

(情報源;2025年3月5日発行 自動車タイヤ新聞)

<ブタジエンとは?>

   https://media.inaki.co.jp/br

<イソプレンとは?>

   https://media.inaki.co.jp/ir

空気不要でパンクしない次世代タイヤを自動運転で実証実験(㈱ブリヂストン)

滋賀県東近江市とタイヤ製造大手「ブリヂストン」(本社・東京都)は、空気を入れず、パンクもしない次世代タイヤの実用化を目指し、今年1月に連携協定を結んだ。市が運行する自動運転サービスの車両に、同社が開発するタイヤを装着して実証実験に取り組み、2026年中の実装(実用化)を目指す。

 

同社によると、開発中のタイヤは「AirFree(エアフリー)」。空気充填じゅうてん不要のため、パンクせず、空気圧に起因する故障が発生しない。空気の代わりに特殊形状の樹脂製スポークが荷重を支え、乗り心地を確保する。さらに、路面に接するゴム部分は摩耗した場合、貼り替えることができる。スポーク部分はリサイクルしやすい素材を使用。粉砕、チップ化、溶かすなどして再成型をできるようにしたいという。

 

このタイヤを、同市が奥永源寺地域で運行している自動運転サービス「奥永源寺けい流カー」に装着して実証実験する。時速20キロ・メートル未満で低速運転する小型電動車両で、「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」と呼ばれる。車両は定員6人のカート型。道の駅「奥永源寺渓流の里」(東近江市蓼畑町)と黄和田町、杠葉尾町の往復4・8キロ・メートルを、道路上に埋め込まれた電磁誘導線をたどり、「自動運転レベル2」で走行する。市は「グリスロのさらなる進化を促し、持続可能な循環型社会の構築に大きく貢献する」と期待し、同社は「パンクの心配がなく、メンテナンスの効率化と資源生産性の向上実現で、タイヤをより長く、安心、安全に使う新しい価値を創出する。高齢化、過疎化、労働力不足という地域課題に直面する地域社会を足元から支えたい」としている。

 

 (情報源;2025年3月2日 読売新聞)

 

植物由来合成ゴムを使用したタイヤの商業化検討(ブリヂストン他)

ブリヂストンとENEOSマテリアル及び日揮HDは植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向け3社連携を加速する。3社は2022年から植物資源由来のバイオブタジエンとタイヤ用合成ゴム製造の基礎的な技術検討や市場調査を進めてきた。2024年7月、ENEOSマテリアルと日揮HDの2社が参画する「木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」がNEDOの「バイオものづくり革命推進事業」に採択されたのを受け、3社は植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向け、以下の取組みを促進する。

 

①植物資源由来のバイオエタノールより得られるバイオブタジエンの製造

②同バイオブタジエンを使用した合成ゴムの製造

③同合成ゴムを使用したタイヤの開発

 

2030年代前半でのタイヤ商業化をめざし、3社で2028年迄にパイロット装置による植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの技術検証を開始する予定との事です。

 

                    (情報源;自動車タイヤ新聞 2025年2月19日)

日本製紙等が航空燃料SAFの原料生産で新会社立上げ

日本製紙、住友商事及びバイオマス関連のスタートアップGreen Earth Instituteの3社で、持続可能な航空燃料(SAF)の原料を生産・販売する共同出資会社を2025年3月に設立すると発表しました。日本製紙の岩沼工場内に生産設備を導入し、SAFの原料となるバイオエタノール等を生産する。GEIが開発した低コスト生産方式を採用し、27年には1,000キロリットル以上生産する予定であり、2030年頃までには生産能力を数万キロリットルに増強予定です。尚。国交省は2030年には国内で172万キロリットルの量が必要になると考えているとの事です。

 

バイオエタノールの原料としては近隣で調達できる木質チップを使用し、「地産地消」により輸送時に発生するCO2の排出量も少なくて済むとの事です。日本製紙としては将来的には他の工場に設備導入する事も検討しています。尚、バイオエタノールはサトウキビや木材等の植物由来のバイオマスを原料として作られたエタノールです。そして、化石燃料に比べてライフサイクルにおけるCO2排出量が少ないことから、地球温暖化対策や石油代替燃料として注目されています。また、バイオエタノールはガソリンへの混合や燃料電池、化粧品などへも活用できとの事です。

 

                    <出典;日本経済新聞 2025年2月14日 朝刊>

 

<バイオエタノールの詳細資料は以下より>

https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=6

 

<SAFの詳細資料は以下より>

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/saf.html

 

 

タイヤメーカー水平リサイクル最新展開状況(ブリヂストン&住友ゴム)

タイヤメーカーにおける水平リサイクル(使用済み製品を原料として再び同じ種類の製品を製造する事)関連の情報を連絡致します。

 

<ブリヂストン>

ブリヂストンは1月30日、タイヤの水平リサイクルの社会実装に向けて、関工場(岐阜市関市)敷地内に使用済みタイヤの精密熱分解パイロット実証プラントを建設すると発表した。2027年9月の稼働開始を予定、最大年間で使用済みタイヤ7500ton処理予定です。使用済みタイヤは精密熱分解後に分解油や再生カーボンブラックとして回収され、更に分解油はリサイクルオイル化し、合成ゴムの素原料であるブタジエン等の化学品となります。

 

又、再生カーボンはNEDO(国立研究法人)のグリーンイノベーション基金を新規に取得の上、石油由来の新品と同質のカーボンに変質する事で、従来より更に補強性を上げたリサイクルカーボンとして従来では使用できなかった部分(トレッド部分他)にも使用拡大を検討していきます。

 

同社は2022年から使用済みタイヤのケミカルリサイクルの取組みを実施してきましたが、2023年の小平地区での試作工場展開を踏まえ、今回はこれら廃タイヤからの原材料抽出の量産化に向けた安定製造の為に必要なプロセス設計や品質管理等のノウハウ取得が目的となります。この検討・検証を踏まえ、次期ステップ(2030年以降)は量産対応となる予定です。

 

 

<住友ゴム>

住友ゴムはタイヤ主原料の一つであるカーボンブラックにおける資源循環対応を三菱ケミカルと1月から開始した。今回の協業は住友ゴムから廃タイヤ粉砕処理品やゴム片を三菱ケミカルに供給し、三菱ケミカルはこれらを原料の一部としてコークス炉に投入てケミカルリサイクルを行うというもの。この取り組みで得られたタールよりカーボンブラックを生産し、それを住友ゴムが生産するタイヤの原料に使用する。通常カーボンブラックは石炭・石油から得られる重質油(タール等)を原料とするが、今回三菱ケミカルはタイヤ再生材料を原材料とするケミカルリサイクルを昨年からの実証実験を踏まえ、リサイクルカーボンを製造・販売する事を決定した。尚、コークス炉を利用しタイヤ再生材料を使用したリサイクルカーボンは世界初との事です。住友ゴムは該リサイクルカーボンをレース用及び一般乗用車向けに採用し、2026年以降採用を順次拡大する意向です。

 

王子HD最先端半導体向け材料に参入(木から半導体材料)

王子ホールディングスは2ナノ(ナノは10憶分の1)メートル世代以降の最先端半導体向けの材料に参入する。木質由来の成分を使った「フォトレジスト(感光材)」を開発し、2028年に事業化を目指す。国内の紙需要が減る中、紙の材料である木質や既存設備を生かした化成品の製造を成長の柱に定める。(情報源;日本経済新聞 2025年1月15日朝刊)

 

 

紙以外を作るビジネスへの転換を図る王子HDは木質から取り出した成分を原料にした「バイオマスレジスト」の開発を発表しました。30年代の年間売り上げは100憶円を目指す。レジストは半導体材料の一つで回路を描く為に不可欠な材料です。基盤(ウエハー)に塗布して光を当てるとその部分の成分が変化し、パターンを焼き付けます。最終的にレジストを除去する工程を経てウエハーに回路を形成されます。半導体の性能を高めるには、この回路の微細化が必須となります。現在主流の「化学増幅型」と呼ばれるレジストは更なる微細な回路形成には限界があるとされています。王子HDは木質由来のレジストを開発し、半導体の2ナノ世代以降に求められる性能をすでに確認しています。同社のレジストは環境負荷が少ないことも利点です。従来のレジストは光に対して反応感度を上げる為、有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が使われるケースが多かったのですが、バイオマスレジストは木質由来の高分子(ポリマー)と溶媒だけでできている為、露光によるポリマーの分解のし易さが一般的な従来品と比べて約8倍と高く、PFASの添加剤が不要となりました。微細な回路は添加剤のわずかな濃淡でも影響を受けやすく、添加剤を無くす事でパターンの解像度が高まる結果となりました。

 

これまで木質由来の素材を半導体材料に活用するには不純物(金属成分)の除去が課題でしたが、王子HDは不純物を除く精製技術を向上させて克服しました。医薬品や食料向けでバイオマスを検討する中で、蓄積する知見が効果を発揮しました。今後、王子HDは半導体以外の新事業育成にも力を注いでいくとしています。木質資源から化学品などを作る「木材バイオビジネス」へ事業構造の転換を進める意向です。エタノールやポリ乳酸のもととなる基幹物質「糖液」も、王子HDの次の成長ドライバーと位置付けています。この「糖液」は酵素を用いた独自技術によってパルプから製造されますが、2024年12月米子工場内に糖液のパイロットプラントを稼働させました。  また、2025年3月には同工場でバイオエタノールの生産も始める予定です。更に2028年にはポリ乳酸年間1000TONの設備稼働を目指しています。以上より、2030年代には糖液、バイオエタノール、ポリ乳酸で年間300憶円以上の売り上げを目指しています。

 

<参考資料>

20250120152358348

 

 

住友大阪セメントのCO2活用新事業情報(人工石灰石の開発・生産)

住友大阪セメントはセメント工場から排出された二酸化炭素(CO2)を反応させて製造する「人工石灰石」を商標化する。石灰石は大気中のCO2を吸収する為、様々な産業で活用できる。既に路面標示用塗料への活用が決まった。国内のセメント市場が年々縮小するなか、工場の脱炭素化を進めると同時に新たな収益源開発へ繋がるものと考えられる。(情報源;日本経済新聞 2025年1月15日朝刊)

 

 

栃木県佐野市にあるセメント工場の一角で人工石灰石の実証プラントの建設が急ピッチで進む。2025年から稼働を開始し、設備の運用や量産化技術の実証を進める。順調に進めば年間270TON製造できるようになる。この人工石灰石の材料となるCO2はセメントの製造時にでてくる。一方、酸化カルシウムはセメント工場で燃やすゴミの焼却灰や建設材料の石膏ボードなどの産業廃棄物等から得られる。尚、CO2回収に向けては「バイポーラ膜電気透析装置」と呼ばれる工場排水から酸とアルカリを越し取る機械に着目し、セメント焼成時に出る排ガスを該装置で取り出したアルカリ液に通す事で、CO2だけを95%という高効率で捕捉できる方法を独自に生み出した。と同時に、廃棄物中にあるカルシウムも同装置から取り出した強酸で抽出し、CO2と反応させることで人工石灰石を低コストで作り出す事に成功した。

 

今回展開する新事業はセメント工場の脱炭素化、産業廃棄物受け入れ拡大、その成果物としてCO2を吸収する人工石灰石開発と、まさに一石三鳥で環境対策に貢献できるものであると胸を張る。できた人工石灰石は低炭素コンクリートに利用する事を検討。更に製紙や樹脂など他産業向けの充填材などへの活用も狙う。今回は路面標示用塗料への活用が決定した。路面標示用塗料の約35%~70%には炭酸カルシウムが充填材として利用されているが、そのうちの約15%を人工石灰石に置き換える。塗料の施工時や消去時に出る廃棄物はカルシウムを含んでいる為、もう一度CO2を固定する事ができ、何度でも人工石灰石にリサイクルができる。セメント産業は全産業の中で4番目にCO2排出量が多く、同社のCO2排出量は700万TONにも及ぶ。この取り組みが成功する事を大いに期待します。尚、該事業の計画は人工石灰石の実証設備を28年には年間2700TONまで拡張し、40年には実際の商用設備で年間70万TON以上の生産を目指すとの事です。

 

 

<参考資料>

20250120134530506

 

 

深刻化する人口減少に危機感 IoT活用により「業務の無駄」をカットした事例紹介

中小企業のモデルケースとなる優良企業を集めた経済産業省の「DXセレクション2024」に選定された、プラスチックの成形品の製造や金型製作を手掛ける山形県河北町の高梨製作所は、10年以上も前からIT (インフォメーション テクノロジー)・IoT (インターネットに接続する技術) 化を積極的に進め、非効率的な業務を徹底的に排除してきました。そのDX (デジタル  トランスフォーメーション) 推進を後押ししたのは、大都市よりも深刻化する人口減少への危機感(働き手の減少)からでした。その進め方等皆さんにも参考になる処がありますので、内容確認ください。これ以外の事例も最後尾から内容確認できます。

<詳細はこちらから>

https://j-net21.smrj.go.jp/special/dx/20241118.html

 

 

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