住友大阪セメントのCO2活用新事業情報(人工石灰石の開発・生産)

住友大阪セメントはセメント工場から排出された二酸化炭素(CO2)を反応させて製造する「人工石灰石」を商標化する。石灰石は大気中のCO2を吸収する為、様々な産業で活用できる。既に路面標示用塗料への活用が決まった。国内のセメント市場が年々縮小するなか、工場の脱炭素化を進めると同時に新たな収益源開発へ繋がるものと考えられる。(情報源;日本経済新聞 2025年1月15日朝刊)

 

 

栃木県佐野市にあるセメント工場の一角で人工石灰石の実証プラントの建設が急ピッチで進む。2025年から稼働を開始し、設備の運用や量産化技術の実証を進める。順調に進めば年間270TON製造できるようになる。この人工石灰石の材料となるCO2はセメントの製造時にでてくる。一方、酸化カルシウムはセメント工場で燃やすゴミの焼却灰や建設材料の石膏ボードなどの産業廃棄物等から得られる。尚、CO2回収に向けては「バイポーラ膜電気透析装置」と呼ばれる工場排水から酸とアルカリを越し取る機械に着目し、セメント焼成時に出る排ガスを該装置で取り出したアルカリ液に通す事で、CO2だけを95%という高効率で捕捉できる方法を独自に生み出した。と同時に、廃棄物中にあるカルシウムも同装置から取り出した強酸で抽出し、CO2と反応させることで人工石灰石を低コストで作り出す事に成功した。今回展開する新事業はセメント工場の脱炭素化、産業廃棄物受け入れ拡大、その成果物としてCO2を吸収する人工石灰石開発と、まさに一石三鳥で環境対策に貢献できるものであると胸を張る。できた人工石灰石は低炭素コンクリートに利用する事を検討。更に製紙や樹脂など他産業向けの充填材などへの活用も狙う。今回は路面標示用塗料への活用が決定した。路面標示用塗料の約35%~70%には炭酸カルシウムが充填材として利用されているが、そのうちの約15%を人工石灰石に置き換える。塗料の施工時や消去時に出る廃棄物はカルシウムを含んでいる為、もう一度CO2を固定する事ができ、何度でも人工石灰石にリサイクルができる。セメント産業は全産業の中で4番目にCO2排出量が多く、同社のCO2排出量は700万TONにも及ぶ。この取り組みが成功する事を大いに期待します。尚、該事業の計画は人工石灰石の実証設備を28年には2700TONまで拡張し、40年には実際の商用設備で年間70万TON以上の生産を目指すとの事です。

 

<参考資料>

20250120134530506

 

 

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