タイヤの水平リサイクルについての勉強会を開催((株)ブリヂストン)

ブリヂストンは6月18日に報道関係者やアナリストを対象とした「タイヤ水平リサイクルの現状とブリヂストンの取組み」に関する勉強会を、東京・小平市にあるブリヂストンイノベーションパークにて開催した。今回の勉強会はブリヂストンが進める、使用済みタイヤを燃料やマテリアルリサイクルではなく、「タイヤ原材料に戻し再びタイヤにする」=水平リサイクルについての理解を深める為に開催されたものです。

冒頭、ブリヂストン材料開発統括部門長 大月正珠氏は『商品をつくって売る、使う、戻す、これらのバリューチェーンを統合させてカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミー(資源を効率的に循環利用することで、廃棄物を出さず、新たな価値を生み出す経済システム)の実現、更にはネイチャーポジティブ(自然を回復軌道に乗せる為に生物多様性の損失を止め、反転させること)への貢献をブリヂストンが目指しており、持続可能な社会に向けて新たな経営基盤を整えていきたい』と同社が進める資源循環について説明した。

更に、グローバルサステナビリティ戦略統括部門長 稲継明宏氏及びリサイクル事業準備室長 加藤貞治氏より、原材料に占める再生資源使用比率の拡大の必要性や、同社の水平リサイクル進捗状況について説明された。その中で、使用済みタイヤを精密熱分解して分解油や再生カーボンブラックを回収し、更にENEOSと共同でその分解油をタイヤ由来の「リサイクルオイル」にし、最終的にはその「リサイクルオイル」はタイヤ原材料となる各種化学品へと変換されていくとの事でした。尚、精密熱分解を大規模に行う実証プラントも岐阜県関市に建設中(2027年完成予定)であり、ここでは外部の知見などを学んだケミカルリサイクルに特化した人材の育成も進めていく計画との事です。

タイヤ新報 2025年6月23日発行  

王子HDが木質資源より化学品を作る実証プラントを立ち上げ

王子ホールディングス(HD)は、木材から再生航空燃料(SAF)やバイオプラスティックの原料となるバイオエタノールなどを、生産する実証プラントを鳥取県王子市に設け、今月21日に竣工式を開いた。紙の需要が年々低下する中、木質資源から化学品等を作るビジネスを次の成長の柱に位置付け、紙を作る事業からの事業転換する為の第一歩となるプロジェクトと位置付けている。実証プラントの建設費は43憶円で、木質由来のバイオエタノール等の生産設備としては国内最大級の規模となる。実証プラントでは様々な化学品の基幹物質となる糖液を、1年間で重さ3000トンのパルプと同等の量を生産する。また、それを原料としてバイオエタノールは年間1000キロリットル生産し、量産技術や事業性の検証を進める。

製紙業界では各社がバイオエタノール等の生産に向けて技術開発を進めている。大王製紙やレンゴーは古紙や建設廃材等のリサイクル材を原料とし、日本製紙は木材からバイオエタノールを生産するとしている。ただ生産性やコスト面等で課題があり、生産が本格的に立ち上がるのは2027年頃になると見込んでいる。一方、王子HDは独自技術で糖液を高効率で生産し、いち早く事業化する事を目指している。事業化の目途が立てば、2030年迄に設備を大幅に増強する予定。生産量は糖液で年間20万トン、バイオエタノールで10万キロリットルを目標としている。尚、米子以外の工場でも同様の設備導入を検討している。2030年代に糖液、バイオエタノール、ポリ乳酸を合わせて年間300憶円以上の売り上げを目指している。

国内の再生航空燃料(SAF)の需要量は5年後の2030年迄には現在の5.7倍の171万キロリットルへと拡大が見込まれる等、バイオエタノール等木質由来の化学品の需要は高まっている。

(情報源;2025年5月22日 日本経済新聞)

 

<以下が新聞記事コピー>

20250523113447171

職場における熱中症対策強化について(6月1日より改正労働安全衛生規則の施行)

熱中症により死亡災害に至る割合は、他の災害の5~6倍という発生率の高さに加え、初期対応の遅れや放置により死亡災害に至った事が大半であるという現状分析を踏まえ、この熱中症における死亡災害発生を防止すべく、厚生労働省より労働安全衛生規則の改正が行われ、令和7年の6月1日より施行されます。この改定により、事業者には熱中症の恐れがある労働者を早期に見つけ、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処する事により、熱中症の重篤化を防止する為の、「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が義務付けされます。尚、この対象となるのは「WBGT(暑さ指数)28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業と言われています。上記労働安全衛生規則改正により、上記対応を怠ると罰則を受けますので、会員各位はしっかりと対策対応を実施願います。尚、熱中症指数WBGT測定器を保有していない会員各位は、この際該測定器を購入の上、熱中症防止対応されることをお勧めします。購入はミドリ安全等で購入できます。

 

尚、参考までに関連資料及びデータ等を以下に列挙致します。内容確認願います。

<労働省発行 職場における熱中症対策の強化について>

職場における熱中症対策の強化について(2025.5.21)

<熱中症とは?及び暑さ指数(WBGT)とは?>

熱中症の原因・なりやすい環境や暑さ指数(WBGT)について知ろう | 熱中症ゼロへ – 日本気象協会推進

<職場で起こる熱中症関連各種データ>

職場でおこる熱中症|職場における熱中症予防情報

 

自動車整備業者の倒産・休廃業・解散の増加顕著(2024年度)

自動車整備業者の倒産・廃業、累計445件発生 過去最多に

 (情報源;帝国データバンク)

 

2024年度の自動車整備事業者の休廃業・解散件数は382件で、過去最多を更新し、倒産を含めると計445件が市場から消滅した。人件費やパーツ仕入価格の高騰、少子高齢化によるユーザー減少、整備士不足に加え、保険修理の単価低迷といった悪条件も重なった。大手自動車メーカーで整備士の育成や、損保会社との連携など業界の改善に向けた取り組みが進むが、整備ニーズの変化に対応できない事業者の淘汰は続く可能性がある。

 

 

自動車整備業界では近年、パーツ仕入価格や人件費の高騰、少子高齢化による自動車ユーザー減少、整備士不足による受注制限など、厳しい経営環境に直面する事例が増加している。2024年度の損益状況では、26.2%が赤字となり、「減益」を含めた「業績悪化」企業の割合は52.9%と半数を超えた。特に、整備士不足が業績に深刻な影響を与えており、若年層の整備士志望者減少と高齢化が進んだことで人手不足が慢性化し、納期遅延や受注台数の制限を余儀なくされるケースが目立った。また、電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HV)など電動車、自動ブレーキなどADAS(先進運転支援システム)搭載車の整備ニーズが増加している一方で、街の整備工場ではこうした電装系・センサー系整備への対応力不足から受け入れができず、メーカー正規ディーラーへの顧客流出につながるといったケースも少なくない。

 

さらに、近年は自動車保険を使用した保険修理の単価抑制が、自動車整備業者の収益力の低下を招く要因の一つとなった。整備士の確保に伴う人件費の上昇や、鉄鋼や樹脂など原材料価格の高騰で整備部品の値上がりが進むなど整備コストは上昇が続いている。他方で、保険修理を発注する保険会社のコスト削減も求められており、コスト上昇分の価格転嫁が思うように進んでいないことも、結果的に売り上げを一定水準確保していながら利益を計上できない事業者が増加した要因となった。

 

足元では、大手自動車メーカーが整備士教育で連携を始めたほか、全国の自動車車体整備事業者で構成される日車協連と大手損保の東京海上日動火災保険が整備代金の単価引き上げに合意するなど、整備事業者の経営環境改善に向けた取り組みに注力している。ただ、整備士の不足や新車の販売不振などで顧客基盤が先細りするリスクが残るほか、整備ニーズの質的変化にも対応が必要となるなど課題も多く、こうしたニーズに対応できない自動車整備業者で淘汰がさらに進む可能性もある。

住友ゴム工業㈱が白河タイヤ製造工場内に水素製造装置を設置

住友ゴム工業が日本国内で稼働している工場で最大級の規模を誇る白河工場に水素製造装置を導入したことを発表した。もともと住友ゴム工業白河工場では、水素によって発電された電力を利用してタイヤを製造する実証実験が行われており、すでに水素エネルギーと太陽光発電を使用した日本初の製造時カーボンニュートラルを達成した量産タイヤを市場に出荷している。その実証実験に使用される水素の一部を、今回の水素製造装置設置によって自前で水素を製造するということです。

 

さて、住友ゴム工業白河工場に導入された水素製造装置は、山梨県が中心となって開発を進めてきた次世代型のエネルギーシステムである「やまなしモデルP2Gシステム」で、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用して水を電気分解することで、環境負荷の少ないグリーン水素を製造する。さらにこのシステムは、40フィートのコンテナにシステム一式がパッケージされており、この手のシステムとしては設置が非常に容易となっていることも特徴となっています。

 

住友ゴム工業白河工場では、2025年4月よりP2Gシステムによる水素製造を開始予定。同システムを24時間稼働することで、年間最大約100トンの水素を製造する予定だ。そして現在、P2Gシステムで製造されたグリーン水素は、従来の配達水素、系統電力、場内太陽光発電、既存燃料とともに白河工場のエネルギー源のひとつとして活用される事となっています。

 

尚、電力会社の東京電力ホールディングスも同様に太陽光発電などが余った際に水素製造を行うことで、電力の調整弁として活用する事を2025年4月10日に発表している。これにより再生可能エネルギーの余剰電力を減らし、地域の電力網の安定化に繋がるとしている。 

 

(情報源;carview yahoo  2025年4月21日)  

国内市販用タイヤ値上げ発表(ブリヂストン、横浜ゴム)

ブリヂストンは3月21日、横浜ゴムは3月24日、それぞれ国内市販用タイヤのメーカー出荷価格の値上げを発表した。2社ともに夏タイヤは6月1日から、冬タイヤ(横浜タイヤはオールシーズンタイヤも含む)は9月1日からの実施となる。国内タイヤメーカーでは、住友ゴムが4月1日からの値上げを昨年12月に発表している。

(情報源;2025年3月31日発タイヤ新報)

 

両社共にタイヤ原材料価格高騰に加え、国内の社会、経済情勢に伴う物流コスト上昇や人件費上昇する中、効率化やコストダウンに努めてきたが、企業努力のみでこれらの吸収は困難であり、価格改定に至ったとの事です。国内タイヤメーカーの値上げ発表は2023年度(ブリヂストンは2023年1月、横浜ゴムは2023年2月、住友ゴムは2023年2月)以来となります。

 

<ブリヂストン 価格改定詳細>

対象商品  国内市販用タイヤ全般(夏、冬) チューブ・フラップ
値上げ率  6~8%(各商品グループ平均)*品種により改定率は異なる
値上げ時期

 ・夏タイヤ;2025年6月1日

 ・冬タイヤ;2025年9月1日

 

<横浜ゴム 価格改定詳細>

対象商品  国内市販用タイヤ全品種(夏、冬、オールシーズン) チューブ・フラップ
値上げ率  5~8% *品種により改定率は異なる
値上げ時期

 ・夏タイヤ、チューブ・フラップ;2025年6月1日

 ・冬タイヤ、オールシーズン;2025年9月1日

ENEOSはCO2を電気分解しタイヤ原材料(カーボンブラック)の量産対応推進

ENEOS HDの資源開発子会社であるENEOS Xploraが同志社大学と組み、タイヤの強度を上げるのに使用されている「カーボンブラック」を、従来の石油・石炭から取り出す製法ではなく、CO2を電気分解する方法で量産すべく4月以降共同開発を進める事を決定。生産設備に数十億円を投資し、2030年代初頭に年間1万5千tonを量産する目標をあげる。

 

CO2からカーボンブラックをつくる技術は世界で研究が進んでいる段階で、現在は量産の事例はない。同社大学はすでに合成技術を確立しており、量産に向けた規模の拡大が課題との事で、石油製品に代わる新規需要取り込みを目指すENEOS HDと組み、量産に向けたコスト削減&生産効率向上の為の最適触媒開発を進めるとの事です。尚、原料となるCO2はENEOS HDの製油所やコンビナートから排出されるCO2を買い取って使用する他、CCS(CO2を分離・回収して地中等に貯留する事)向けに集められたCO2も一部使用する。この背景には政府が2026年度よりCO2の排出枠を売買する排出量取引制度を本格的に始める為、ENEOS HDとしては採算が見込めると判断したと考えられる。

 

尚、ENEOS HDはCO2の活用については2024年にCO2とグリーン水素を原料とする「合成燃料」の実証生産も始めた。合成燃料とは環境負荷の小さいガソリン代替燃料やジェット代替燃料(SAF他)の総称で、既存の石油製品のサプライチェーンも生かせる為効率良く活用出来るので、開発に各社・各業界注力している。

(情報源;2025年3月11日 日本経済新聞)

 

<排出量取引制度とは?>

https://journal.meti.go.jp/p/36485/#:~:text=%E3%80%8C%E6%8E%92%E5%87%BA%E9%87%8F%E5%8F%96%E5%BC%95%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%80%8D%E3%81%AF,%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

 

 

 

 

エタノールからブタジエン生成の技術実証工場の建設(横浜ゴム)

横浜ゴムと日本ゼオンは、植物原料由来等のエタノールからブタジエンを生成する技術を実証する為のベンチ設備を、ゼオン徳山工場内に建設する事を決定した。ベンチ設備は26年より稼働開始し、ブタジエンの確保と量産に向けた各種データを収集していくと発表した。

 

今回実施する実験は、植物原料由来等のエタノールを高効率な触媒によりブタジエンに変換するもの。植物原料由来等の合成ゴム量産化する技術確立の第一歩を目指す。ゼオンはベンチ設備で生成したブタジエンからポリブタジエン(ブタジエンゴム)を試作し、横浜ゴムはそのブタジエンゴムを使用したタイヤの試作と走行テストを実施し、大規模実証に向けたデータ収集を行う。

 

両社は2030年代に植物原料等からブタジエン、イソプレンを高効率で生成する二つの技術の社会実装を目指しており、今回のベンチ設備は「エタノールからの高効率ブタジエン合成」に基づくものとの事です。

(情報源;2025年3月5日発行 自動車タイヤ新聞)

<ブタジエンとは?>

   https://media.inaki.co.jp/br

<イソプレンとは?>

   https://media.inaki.co.jp/ir

空気不要でパンクしない次世代タイヤを自動運転で実証実験(㈱ブリヂストン)

滋賀県東近江市とタイヤ製造大手「ブリヂストン」(本社・東京都)は、空気を入れず、パンクもしない次世代タイヤの実用化を目指し、今年1月に連携協定を結んだ。市が運行する自動運転サービスの車両に、同社が開発するタイヤを装着して実証実験に取り組み、2026年中の実装(実用化)を目指す。

 

同社によると、開発中のタイヤは「AirFree(エアフリー)」。空気充填じゅうてん不要のため、パンクせず、空気圧に起因する故障が発生しない。空気の代わりに特殊形状の樹脂製スポークが荷重を支え、乗り心地を確保する。さらに、路面に接するゴム部分は摩耗した場合、貼り替えることができる。スポーク部分はリサイクルしやすい素材を使用。粉砕、チップ化、溶かすなどして再成型をできるようにしたいという。

 

このタイヤを、同市が奥永源寺地域で運行している自動運転サービス「奥永源寺けい流カー」に装着して実証実験する。時速20キロ・メートル未満で低速運転する小型電動車両で、「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」と呼ばれる。車両は定員6人のカート型。道の駅「奥永源寺渓流の里」(東近江市蓼畑町)と黄和田町、杠葉尾町の往復4・8キロ・メートルを、道路上に埋め込まれた電磁誘導線をたどり、「自動運転レベル2」で走行する。市は「グリスロのさらなる進化を促し、持続可能な循環型社会の構築に大きく貢献する」と期待し、同社は「パンクの心配がなく、メンテナンスの効率化と資源生産性の向上実現で、タイヤをより長く、安心、安全に使う新しい価値を創出する。高齢化、過疎化、労働力不足という地域課題に直面する地域社会を足元から支えたい」としている。

 

 (情報源;2025年3月2日 読売新聞)

 

植物由来合成ゴムを使用したタイヤの商業化検討(ブリヂストン他)

ブリヂストンとENEOSマテリアル及び日揮HDは植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向け3社連携を加速する。3社は2022年から植物資源由来のバイオブタジエンとタイヤ用合成ゴム製造の基礎的な技術検討や市場調査を進めてきた。2024年7月、ENEOSマテリアルと日揮HDの2社が参画する「木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」がNEDOの「バイオものづくり革命推進事業」に採択されたのを受け、3社は植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向け、以下の取組みを促進する。

 

①植物資源由来のバイオエタノールより得られるバイオブタジエンの製造

②同バイオブタジエンを使用した合成ゴムの製造

③同合成ゴムを使用したタイヤの開発

 

2030年代前半でのタイヤ商業化をめざし、3社で2028年迄にパイロット装置による植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの技術検証を開始する予定との事です。

 

                    (情報源;自動車タイヤ新聞 2025年2月19日)

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